FC2ブログ

カナイケイスケ

サーカス・アーティスト「金井ケイスケ」、またはパフォーマー「ケイスケ」のページ

2018 07/18

イタリアのソーシャル・サーカス

<イタリアのソーシャルサーカスの活動>


1ヶ月のくるくるシルクDXイタリア公演ツアー後に、運良く現地のソーシャルサーカスの活動とネットワークの人たちと交流できたので、ちょっとだけご紹介。


P_20180707_172927.jpg

フィレンツェ郊外、Scandicci(スカンディッチ)で、2週にわたって行われたサーカスフェスティバル最終末の土日に行ってきました。
そこで、イタリアのソーシャル・サーカスネットワーク「アルトロ・チルコ」の活動も見学。



ソーシャル・サーカスという名前すらほとんど知られていませんが、サーカス文化、教育を通してマイノリティ(移民、避難民、障害者)の人たちの社会参画、健康維持、犯罪抑止、貧困対策、そして地域コミュニティーの連携、活性化などなど活動は多岐に渡ります。

(ちなみに僕が関わっているスロームーブメントの活動も、日本におけるソーシャル・サーカスと言えますね!)。

P_20180706_174639.jpg




歴史的には90年代のブラジルが始まりだったそうですが、ソーシャル・サーカスという名前をいろいろな団体が前面に出してきたのはここ数年。

日本でも、
今年1月はカナダにソーシャル・サーカスのリサーチ、2月にはソーシャルサーカスを医療やリハビリテーションの現場で実践するフレデリック・ロワゼル氏を日本に招待しワークショップと講演会。そして5月はイタリアでソーシャルサーカスのリサーチをスロームーブメントの活動として行ってきました。

日本でソーシャル・サーカスをもっと知ってもらって実践していきたいけど、日本にフィットする形はきっと日本オリジナルなんだろうなぁ、と思いつつも、彼らの活動を見に行ってきました。

さてさて、ソーシャル・サーカスには社会に対しての必要性、時として緊急性が必ずあります。

地域ごとの特性があり、ここイタリアでもひとつの特徴があります。
多くの難民がヨーロッパを目指し最初に入国するのはたいていここイタリア。そんなわけでこの国は移民対策が急務です。


<Cirkfantastickフェスティバル/フィレンツェ>

ここ、フィレンツェ郊外スカンディッチ市では、18カ国から避難民としてやってきた少年少女達(主にアフリカ系、東欧系)と彼らと交流したい市民のために、サーカス、演劇、音楽のワークショップのプログラムを街が1年間提供してきました。


移民達は、イタリアやヨーロッパ社会に出るため、さまざまな価値観や文化を共有するプログラム、職業訓練。そして自分がどうしてイタリアにたどり着いたかをパフォーマンスのワークショップを通じて告白してきました(公演でも何人か生い立ちなどを語っていましたが、まさしく告白!)。
 

P_20180706_130938.jpg


発表前日のリハーサルでは、観客に楽しんでもらう作品にするために、長すぎると判断された部分がサーカスの演出家と演劇、音楽、アクロバットの講師からの意見で、ところどころ修正やカットが入ったのですが、幸運にもその過程を一日中見ることができました。
作品的には半分になりましたね。すごいカットの嵐でしたがイタリアの講師達は当然という感じでした。これがイタリアン・クリエーションか…。

ワークショップで使われる言語は、基本的にはイタリア語と英語とフランス語なのですが、参加者の中にも母国語でないこともあったり理解できない人がいるため、非常に進みがゆっくりです。
大部分がパフォーマンス練習と同時進行で行われるので、言葉を介さず呼吸でのタイミングであったり、協調性の問題であったり、非常に勉強になりました。




時に内容は、いままで彼らが育ってきた文化を否定するようなものだったり、場合によっては危険を伴うような訴えであったりします。
厳格なイスラムの家庭で育った少女が、勇気を持って自由に服装を選ぶことを始めた話(僕らにとっては当たり前だけど、イスラム社会では難しいこともある)

中央アフリカの少年は13歳で両親を失い、頼るものがなくストリートチルドレンをしながら、旅の途中で出会った身寄りのない子供同士で旅をして、時には重労働をしたり殺されそうになったりしながらヨーロッパを目指し、リビアからゴムボートに乗ってイタリアに渡った話。

他のメンバーもアフリカからボートで渡る時に、すでに多くの人が命を落とし、友人達が目の前で亡くなっていったディープな話。

そして自分たちの生い立ち、現在のトラウマ、未来への希望を音楽や集団でのサーカスのテクニックを交えながら、時にポップに軽やかに表現してくれました。



P_20180707_180324.jpg


有料公演でしたが、多くの障害者とその家族が有料で観客として見にきていたのは印象的でした。 
どうやら避難民や移民と身体知的含む障害者団体も同じような場所で活動しているようで、アルトロチルコの講師もどちらとも知り合い、という感じでした。


また、今回は講師ではなかったけど、アルトチルコのDさんは非常に名を知られていて、障害者や移民達いろいろな人に声をかけられていました。


P_20180706_173102.jpg

いくらでも難民が入ってきてしまうイタリアでは、移民への強い偏見があります。 
なので大勢の国民が、そもそも彼らの話に耳を傾けようともしない。 
でも、パフォーマンスとして表現されることで、人々が彼らの文化や個性に出会い、そこから理解が生まれ、対話が始まってゆく。
そんなことをサーカスや他の文化を通して人々に、難民も同じ人間であるということを訴え、理解してもらうために活動している人たちがイタリアには何人もいます。 
そういうことを、みんな丁寧に何度でも熱く語ってくれます(情熱の国ですね)。

この公演の財源は主にEUから出ていたそうなんですが、それについて質問すると、ヨーロッパの移民政策、イタリアの移民政策、難民問題、地域コミュニティー、そしてもちろん他のイタリアのフェスやサーカスの話などなど、フランス語と英語と付け焼き刃のイタリア語の3ヶ国語を交えて、いろいろな話、主にヨーロッパの抱えている問題とその対策としてのサーカスなどの話が聞けました。

またそれについては次回…。

フェスティバルに参加していた他のグループも、とんでもなく面白い団体とかいたんですが…、
それを話すと長くなるので…、
またそれも次回!

 すいません!

今後も、ソーシャル・サーカスの動きに目が離せません。

P_20180706_233636.jpg


この記事と関連する記事

イタリアのソーシャル・サーカス

(0)TB(0)

AFTER「8月4日、11日 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS オープンディ・ワークショップin大阪

BEFORE「熊本でパフォーマンス・ワークショップを開催します!

COMMENT

MESSAGE

非公開コメント

Top