カナイケイスケ

サーカス・アーティスト「金井ケイスケ」、またはパフォーマー「ケイスケ」のページ

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ラブレター

DSC_0011.jpg                                                                
ここのところパリでコンテンポラリーダンスのクラスにせっせと通っている。                                            
そこのスタジオに行くのは3年ぶりぐらいなのに、知らない人が、まるで知り合いのように話しかけてくる。良く良く聞くと確かに知り合いらしいんだけど、こちらはその人の事を全然覚えていなかったりする。                                                                     
フランスの舞台の世界で、男でアジア人だったらそもそもあんまりいないから、向こうには覚えやすいはず。でもこっちにとってはとても不利。                                               
基本的にフランスはアジア人以外の人種がほとんどで、血も色々混じってるから、誰がラテン系でアラブ系でスカンジナビア系でアングロサクソン系なのかさっぱりわからない。                 
そもそも普段着とレッスン着が変わるだけでも相当印象が変わるのに、おまけにみんなどっかで聞いたような名前だったりする。1、2度会っただけで、そのあと2年も3年も覚えているんて不可能だ。                                    
それを覚えている事が、こっちの人にはできるらしい。                                                  
友達と話ししていて、話しの中の登場人物が分からないと、「髪の色が栗色の巻き毛で、目の色がブルーグレイで目がパッチリしてて…」と説明してくれる。
よくこいつらそんな細かいデティールまで覚えているよなぁ。                        きっと混血が多いから、そうやって外見の情報をすぐに識別して、脳にインプットする機能がついているんだろう。
彼らは見事に言葉だけで人物のデティールを表現してしまう。                                                 
残念ながら髪の色も目の色もそんなに変わらない、日本列島からやってきた僕にはそんな機能そなわっていない。自分の顔をひっぱったりつねったりして、「こーんな顔した人!」と言ってしまった方が早い時もある。                    
でも、そもそもの骨格が違うヨーロッパ人相手だと、そんなの通用しない。
「こーんな顔した人!」と僕がやっても、単なるひげ面のアジア人が、同じアジア人の真似してるようにしか向こうにはわからない。通信手段がどんなに早くなっても、ヨーロッパ大陸と日本列島の民族の距離は、なかなか縮まらないもんだ。                                                             
さて、ダンスのレッスンで知り合いだったらしい人をだいたい把握した頃のこと。
スタジオの入り口で、毎日レッスンを見学している女の子がいた。その子に突然手紙を渡された。レッスン途中だったので、何も言わずに受け取って、彼女も何も言わずにさっさと行ってしまった。                                                      
また新たな昔の知り合いかと思ったら、「あなたの踊る姿が好きです。今日友達の家でパーティーがあるので、良かったら来ませんか。お電話ください…。」なんて書いてある。                                                                  
こっ、こっ、こっ、こっ、こっくりさん! じゃなかった、これは!らぶれてゃぁ…。
どどーん!ばりーん!どっかーん!10代の頃ならともかく、30代になってしかもフランスで、白人の子に、初めてらぶれちゃーされちゃいました!                                                     
いままでも知らないフランス人から「わたしとつき合いませんか…。あ、奥さんがいるのね…。残念、さようなら」「あなた妻帯者なのね…。あなたの友達で、あなたみたいなひといない? あ、いない…。さようなら」なんていうちょーあっさりな告白とも言えないような、突然ナンパされた!?みたいな事はあった。
でもフランスで青春らぶれちゃーをもらうという事は、僕にとって記念すべき「第一回らぶれちゃー授与式」なのだ。                
らぶれちゃー…、なんとゆゆしく、奥ゆかしい響き…。                                                         
でも現実問題不可能なのでどう断ろうか…、と考えつつとりあえず電話。
「あのー、はじめまして。今日の夜は、練習がもうひとつ入っていて、そのパーティーは行けそうもないんだけど…。」と言ったら、
「あなたに仕事の話しがあるのよ。あたしは明日にはドイツに行かなきゃいけないから、今日会ってしまいたいんだけど。夜の10時からなのよ…」
「(むむむ、仕事の話しか…)…、10時ちょっと遅れるけど、それならいけるかも。あのね、僕結婚してるんだけど、そのパーティーに奥さん同伴でもいいかな。」
「え…、あ、あぁ、いいわよ…、是非二人で来てちょうだい…」                              
結局うちの奥さんは、練習でつかれて家に帰ってしまい一人で会場のアパートに到着…。                                                              パーティーというよりも、友達同士の集まりで、確かに一つは仕事の話しにつながるような話しが別な友達から僕にあり、あとはらぶれちゃーくれた子とお話した。                                                   
アルメニア系ドイツ人。基本的にはドイツに住んでいるけど、フランスにはダンスの仕事をした縁でよく来ている。
たまたま僕らのレッスンの隣りのバレエクラスを受けていて、そっちが始まる前にコンテンポラリーを見学していた。そしたらあなた(僕)を見つけた。
「もっと早くあなたとお話ししたかっけど、結局最終日になってしまったの。次はいつフランスに来るか分からないけど、最後にあなたと話せて楽しかったわ。」                
結局一時間ぐらいで、みんな終電車がなくなる、ぼくもバスがなくなる、ということで帰路へ。
で、彼女ともさようなら…。                                                    
そのあと家についてから、うちの奥さんにその子のデティールを伝えようと試みた。             「20代で、かわいらしくて、白人白人してなくて、どっか混じってそうで、えっとどんな風にかわいらしかったかというと…、目がパッチリしていて、髪は…、髪はどんなんだっけ…、えー、とりあえず長かった。でも何色だ? 目の色は…???」                                               
やっぱり自分は日本列島感覚だぁ! と列島感な劣等感に苛まれたのでありました。


| パリ | 05:31 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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