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カナイケイスケ

サーカス・アーティスト「金井ケイスケ」、またはパフォーマー「ケイスケ」のページ

2007 07/29

サーカスアートの国フランス パート2

2001年7月
フランス国立サーカス大学/CNACでの研修報告

サーカスアートの国フランス パート2


学外活動では、同級生の空中ブランコ乗りとベルギーのサーカスコンクールに参加しました。「俺たちは世界一だ!絶対ゴールドメダルを穫ってやる」との熱にうかされたような気合いで望みましたが、結果は選外。学生の甘さを痛感し、ヤケ酒(ベルギービール)をあおってヤケ食い(ベルギーワッフル)してフテ寝しました。
しかしこの惨敗を糧として精進した結果、フランスサーカス協会の後援を得るまでに成長しました。来年また二人で組んで、みんなをアッと言わせるような公演にしようと練習に励んでいます。

ここで日本に視点を移してみますと、サーカスの専門の学校もなければ、教えられる人もいないというのが現状です。もちろん「シルク・ドゥ・ソレイユ」のようグループも生まれようがありません。そこで今年から「体風の芽」というフェスティバルを企画して、フランスで学んだ文化、日本のアーティストを紹介するためにフェスティバルを開催するつもりです。その計画も着々と進行中です。もし、ポスターやパンフレットを見かけましたらぜひ足を運んでみてください。

2001年7月吉日
金井圭介

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この文章を書いてから六年経ったけど、フランスのサーカスもいろいろな変化があった。

<ベルナール校長>
当時CNACで校長をやっていたのはベルナール・テュラン。サーカス学校とフランスサーカスに一石を投じた人だった。

彼は赴任後すぐに、伝統サーカス出身のベテラン先生達を一掃した。そして元バレエダンサーや体操の元メダリスト、フランススキーのナショナルチームのコーチなど様々なジャンルから一流のコーチを引っ張ってきた。
ほとんどがサーカスなんて知らない人達である。 しかし、人間が行う運動であるからには、体操やダンス、スポーツ運動にもサーカスとの共通点は多い。むしろ逆にサーカスを知らない方が、古い規則に縛られず、近代化を図るには良い、と考えた上での事だった。 
さらに伝統サーカス出身でない若いサーカスアーティスト達も非常勤講師として、生徒達とともに研究を重ねることになった。その結果、もう生まれる事はないだろうと思われていた、新しい技術や新素材を使ったテクニック、従来のサーカスでは今まで考えつかなかった演出が生まれていった。

そして何よりも彼が大事にしていたのは卒業公演だ。彼が企画した7期生の卒業公演は振付家ジョゼフ・ナジを起用して現代サーカスとしては大ヒットした。
サーカス学校の卒業公演が1年以上もヨーロッパ中を公演してまわる事を誰が想像できただろう。

そのベルナールの実験室で僕らは育てられた。
学校では高いテクニックとともに他者とコラボーレーションをして、新しい創造をする事を求められた。そして僕らの卒業公演はフィリップデクフレが担当し、2年間ツアーを続ける。
アーティスト達は卒業後はサーカスだけでなく、コンテンポラリーダンスや演劇、はたまた演出や振り付けなど、さまざまなジャンルに飛び出している。
僕の同級生でもダンスや演劇の舞台に出演したり、映画のスタントマンになった者、ラスベガスのシルク・ドゥ・ソレイユの作品に出演している者などもいる。

「うちの学校は実験室のようなもの。いままでのサーカスがしてきたような、皆をアッと言わせるテクニックだけを身につけたり、個人のナンバーに力を入れるところではない。逆に卒業してから5年10年経ってから花が開くような教育だと思っている…」
これは、僕らのベルギーサーカスコンクールへの参加を校長ベルナールが大反対した時にいった言葉である。「君らのように、僕の学校で実験的サーカスをやっているものは、サーカスコンクール向きではない。今はまだ早すぎる。絶対に大恥をかいて、学生でいる事に疑問を持つ事が目に見えている。だからぼくは君らの将来を考えた上での反対なんだ」、そして「出場したら退学だ。その覚悟があれば参加しなさい」と言った。
 
結果参加した僕らは大恥もかかなかったし退学にもならなかったけど、ベルナールの言った言葉が身にしみた。普段自分だけのオリジナルナンバーをつくり、観客の前で拍手喝采を受ける事を前提とした従来の芸人と、CNACのような舞台芸術の先鋭になる事を重視した学校の生徒では、そもそも勝負する場所が違う。
歴史の歩みはとまる事はない。今までと同じ事をやるエネルギーがあるなら、生徒達はこの先の歴史を塗り替えることに力を注ぐべきだろう。

<パート3につづく>

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